【最新データ】男性育休取得率の推移と現状|2023年度17.13%達成の背景と課題

 男性育休取得率は2023年度に17.13%に達し、政府が掲げる「2025年までに50%」という目標に向けて着実に前進しています(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。

 しかし、女性の取得率が約80%台を維持していることと比較すると、依然として大きな開きがあります。本記事では、最新の統計データをもとに、男性育休取得率の年次推移・企業規模別の差異・取得期間の傾向・今後の課題を徹底的に解説します。

1.男性育休取得率の最新データ(2023年度)

 厚生労働省が2024年に発表した「令和5年度雇用均等基本調査」によると、2023年度の男性育児休業取得率は17.13%でした。これは2022年度の17.13%とほぼ横ばいとなっており、2021年度の13.97%から比べると約3ポイント以上の改善が見られます。

 一方、女性の育児休業取得率は同年度で80.2%と高い水準を維持しており、男女間の差は依然として約63ポイントと大きい状況です。政府は「2025年までに男性育休取得率50%」「2030年までに85%」という目標を掲げており、現状との差は明らかです。

2.男性育休取得率の年次推移

 男性育児休業取得率は、ここ10年で劇的に上昇してきました。以下に主要年度の推移をまとめます。

  • 2010年度:1.38%
  • 2013年度:2.03%
  • 2016年度:3.16%
  • 2018年度:6.16%
  • 2020年度:12.65%
  • 2021年度:13.97%
  • 2022年度:17.13%
  • 2023年度:17.13%(最新)

 2020年度から2021年度にかけて初めて10%台を突破し、社会的な注目度が一気に高まりました。育児・介護休業法の改正(2022年10月施行)による「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度の新設が、取得率向上の大きな後押しとなっています。

取得率向上の背景にある法改正

 2022年10月の育児・介護休業法改正では、①産後パパ育休の創設(子の出生後8週間以内に最大4週間取得可能)、②育児休業の分割取得(2回まで分割可)、③有期雇用労働者の取得要件緩和、などが盛り込まれました。これにより、男性が育休を取得しやすい制度的環境が整備されました。

3.企業規模別・業種別の取得率の差

 男性育休取得率は、企業の規模や業種によって大きな差があります。大企業と中小企業では取得しやすさの条件が大きく異なるためです。

企業規模別の取得率(2023年度)

  • 従業員500人以上:約30%前後(大企業ほど高い傾向)
  • 従業員100〜499人:約20%前後
  • 従業員30〜99人:約15%前後
  • 従業員30人未満:約10%前後

 大企業では制度の整備や周知が進んでいる一方、中小企業では「人手が不足している」「代替要員がいない」などの理由から取得が難しいと感じる男性が多い実態があります。

業種別の傾向

 情報通信業・金融業・保険業などの「知識集約型」業種では取得率が比較的高い傾向があります。一方、建設業・製造業・運輸業などでは依然として取得率が低く、職場文化の影響が大きいとされています。

4.男性育休の取得期間の実態

 取得率が向上している一方で、取得期間の短さが課題として残っています。厚生労働省の調査によると、男性育休の取得期間は以下のように分布しています。

  • 5日未満:約25%(最多)
  • 5日〜2週間未満:約20%
  • 2週間〜1ヶ月未満:約15%
  • 1ヶ月〜3ヶ月未満:約20%
  • 3ヶ月〜6ヶ月未満:約12%
  • 6ヶ月以上:約8%

 約45%が2週間未満と短期間にとどまっています。子育て支援の専門家からは、「最低でも1ヶ月以上の取得が家族のサポートとして実質的な効果を持つ」と指摘されています。産後パパ育休制度の活用により、少なくとも2〜4週間の取得を目指すことが推奨されています。

5.女性育休取得率との比較

 女性の育児休業取得率は1990年代から一貫して高い水準を維持しており、近年は80%前後で推移しています。2023年度は80.2%でした。

 男性の17.13%と比較すると約63ポイントの差があり、この差が「育児の女性偏重」の構造を生み出しています。内閣府の調査では、専業主婦世帯・共働き世帯を問わず、育児時間の約70〜80%を母親が担っているとされています。男性の育休取得率向上は、こうした不均衡を是正する重要な手段と位置づけられています。

6.政府目標と今後の見通し

 政府は「こども未来戦略方針」(2023年)において、男性育休取得率の数値目標を以下のように定めています。

  • 2025年目標:50%
  • 2030年目標:85%

 2023年度時点で17.13%という現状を踏まえると、2025年目標の達成には毎年約16ポイント以上の急激な上昇が必要であり、極めてチャレンジングな目標といえます。政府はこの目標達成に向けて、以下の施策を推進しています。

  • 育休取得率の公表義務化(従業員1,000人超の企業は2023年4月から義務化)
  • 育児休業給付金の給付率引き上げ(28日間は実質手取りの約80%相当)
  • 中小企業向けの代替要員確保支援・助成金の拡充
  • 「育休取得宣言」など啓発キャンペーンの展開

7.まとめ:データが示す課題と展望

 男性育休取得率は着実に上昇しており、2023年度に17.13%を達成しました。しかし、政府目標の50%(2025年)・85%(2030年)に向けては、まだ大きな差があります。

 課題は大きく3つあります。①取得率そのものの向上(特に中小企業・取得しづらい業種での底上げ)、②取得期間の長期化(短期間取得から実質的な育児参加へ)、③職場文化の変革(上司や同僚の理解促進・ハラスメント防止)です。

 個人レベルでは、制度を知り、職場に早めに申し出ることが第一歩です。本サイトでは育休取得の具体的な手続きや職場への説明方法についても詳しく解説していますので、あわせてご参考ください。