【人事・管理職必見】男性育休が進まない職場の5つの原因と改善策|意識改革の実践ガイド
「育休制度はあるのに取得者がいない」「取りたいと言い出せる雰囲気ではない」――そんな職場の悩みを抱える人事・管理職の方は多いのではないでしょうか。
男性育休取得率は2023年度に17.13%(厚生労働省調査)まで上昇しましたが、職場によって格差は大きく、制度があっても機能していないケースが後を絶ちません。本記事では、男性育休が進まない職場に共通する5つの原因を分析し、人事・管理職が今すぐ取り組める実践的な改善策を解説します。
1.男性育休が進まない5つの原因
厚生労働省の調査では、男性が育休を取得しなかった・取得できなかった理由として、以下が上位に挙げられています。
- 職場に育休を取りにくい雰囲気があった(約33%)
- 業務が繁忙で職場の人手が不足していた(約27%)
- 仕事の代替要員確保が困難(約19%)
- 自分にしかできない仕事・担当業務がある(約18%)
- 収入が減少する(約16%)
これらは「個人の問題」ではなく、職場の構造・文化・制度設計の問題です。人事・管理職がリーダーシップを発揮することで解決できる課題がほとんどです。
2.原因①:上司・同僚の無言のプレッシャー
「育休を取りたい」と申し出たとき、上司が露骨に嫌な顔をしたり、「そういう時期じゃないだろう」と言われたりする体験は、育休申請の大きな障壁になります。こうした言動は「パタニティハラスメント(パタハラ)」として、育児・介護休業法により禁止されています。
しかし問題は、明確な嫌がらせではなく「空気」や「雰囲気」として伝わるケースが多いことです。管理職が無意識に発するため息、育休取得者への陰口、長時間残業を美徳とする文化——これらが男性社員を萎縮させています。
管理職がすべき行動
- 自ら育休取得経験を話す(または積極的に支持する発言をする)
- 育休取得の申し出に対して「おめでとう」「応援する」と明確に伝える
- チームミーティングで「育休は権利である」と宣言する
3.原因②:制度の周知不足と申請手続きの複雑さ
「育休制度があることは知っているが、具体的にどう申請するかわからない」という男性社員は意外と多いです。特に、産後パパ育休(出生時育児休業)が2022年10月に新設されてから、制度が複雑化した面もあります。
人事部門がすべきこと
- 社内イントラに育休取得の手順書(フローチャート)を掲載する
- 配偶者の妊娠が判明した時点で人事から本人に案内メールを送る
- 産前6ヶ月の時点で「育休セミナー(社内)」を開催する
- 申請書類のテンプレートを整備し、記入サンプルを提供する
4.原因③:代替要員・業務分担の仕組みがない
「自分が休むと誰かに迷惑がかかる」という罪悪感は、男性が育休を躊躇う最大の心理的障壁のひとつです。これは個人の気持ちの問題ではなく、職場の業務設計の問題です。
職場として整備すべき仕組み
- 業務の属人化を解消するための業務マニュアルの整備
- 「チームで仕事を担う」文化の醸成(ジョブローテーションの活用)
- 育休取得者が出た際の業務再分配ルールの事前策定
- 一時的な業務増加に対する残業代・インセンティブの付与
- 厚生労働省の「育休中等業務代替支援コース」助成金の活用(中小企業向け)
5.原因④:評価・昇進への影響への不安
「育休を取ったら査定が下がる」「昇進コースから外れる」という懸念は、根拠のない噂であることが多いですが、実際にそのような運用をしている企業が存在するのも事実です。育児・介護休業法では、育休取得を理由とした不利益取扱いは違法とされています。
人事制度の見直しポイント
- 育休取得期間を評価から除外するルールを明文化する
- 育休取得者の復帰後キャリアパスを事前に説明する
- 管理職評価に「部下の育休支援」を組み込む(KPIとして設定)
6.原因⑤:「男性が育休を取るもの」という認識の欠如
「育休は女性のもの」「男性は仕事に専念すべき」という旧来の性別役割分業意識が、社員・管理職・経営者の中に根強く残っていることも大きな原因です。この意識は個人の問題というより、組織として正面から取り組む必要があるテーマです。
意識改革のためのアクション
- 経営層・管理職向けの育休研修(アンコンシャスバイアス研修を含む)
- 育休取得者のインタビュー記事を社内報に掲載する
- 「育休取得宣言」制度の導入(取得予定者が宣言し組織でサポート)
7.人事・管理職が今すぐできる7つの改善策
以下は、追加コストをかけずに今すぐ始められる改善策です。
- 育休取得者への「おめでとう」文化の醸成:申し出があったときに歓迎するコミュニケーションを徹底する
- 育休取得ロードマップの共有:取得から復職までのタイムラインを可視化したシートを社内に公開する
- 管理職の育休体験談共有会:管理職自身が育休・育児の経験を話す場を設ける
- 業務の棚卸しと引継ぎマニュアル整備:育休取得3ヶ月前から開始する
- 育休中社員との定期連絡ルールの設定:月1回程度の近況確認(強制ではなく任意で)
- 復帰後の時短勤務・フレックス活用の案内:復帰後の働き方オプションを事前に提示する
- 育休取得率のKPI設定と定期モニタリング:数値で追うことで組織の優先度を高める
8.育休取得率向上に成功した企業の共通点
男性育休取得率が50%を超える企業には、以下の共通点があります。
- トップダウンのコミットメント:経営者・役員自身が育休取得を経験している、または強力に支持を表明している
- 取得率のオープンな管理:部署ごとの取得率を可視化し、全社員が確認できるようにしている
- 育休取得者のロールモデル公開:取得した男性社員の体験談を積極的に発信している
- 管理職の評価への組み込み:部下の育休支援が管理職評価に直結している
9.まとめ:管理職の行動が職場を変える
男性育休が進まない最大の理由は「制度の欠如」ではなく「使える空気がない」ことです。この「空気」を作っているのは、職場の管理職の言動にほかなりません。
人事・管理職として、まず自分自身のマインドセットを変え、制度を積極的に案内し、取得を歓迎する文化を作ることが、最も効果的なアプローチです。育休取得率の向上は、組織の生産性・エンゲージメント・採用力のすべてにプラスの効果をもたらします。ぜひ今日から実践してみてください。